アグラオネマの栽培方法準備編【2019年度版】
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以前は緑のショートタイプでしたが「用土の量が3割増し」「ケースに収容出来る数は変わらない」で黒に切り替えました。用土が増えるメリットですが水持ちが良い分だけ乾燥しないのと、深い分だけ根の数が増える→成長も早くなるです。あと鉢も規格は必ず揃えましょう。これも散らかりだすと飼育崩壊の入り口になります。
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2019年 04月 26日
【初めに】 当ブログの過去の栽培方法を最新版に改めた記事です。初心者から中級者さん向けの最低限の栽培知識を放り込みますが、長文になりそうです。なるべく両論併記ではなく敢えて「沼に嵌るんだったら最初からずっぽり」嵌めてます。生体はアグラオネマピクタムを主眼に書いていますがネブロッサムやシンプレックスの近縁種にも使えます(そもそもピクタムより強健種です)。大事なのはピクタム自体、ジメジメ系の中では丈夫な植物です。本記事の主旨ですが「SNSで見る綺麗な株」まで1年の飼育歴でなるべく辿り着ける様、念頭にしております。ざっくり言うと皆さん失敗例と思っている育成株なんか正直上級者でも量産しています。ただ上級者はそこから修正しているだけです。ではアグラオネマ栽培を紐解いていきたいと思います。1本の記事にまとめようとしたんですが、途中で「こりゃ分けた方が良い」ってことで準備編、植込み取り木編、トラブル編の三部作になりました。 【入手方法】 ■ショップ★★★ ■即売会★★★ 今や毎月日本中のどこかで開催される即売会イベント。店舗を持たない採集者自身の参加も多いです。大きな即売会になると数業者合計数百株ものピクタムが並ぶ、まさに大人のディ●ニーランド。普段はネットでしか話さないひょろわーさんとも会えます。 難点として 諭吉が飛んで行く 一葉も飛んで行く 英世も飛んで行く そして帰り間際はいつもポルナレフ…「おれは今日は見るだけと思ったら、いつのまにか手提げ袋を4つも持っていた…」 ■オークション★★ ヤフーオークション、 ■トレード★★ SNSや即売会で知り合った同士のトレードや購入です。正直良く分からないです(分かって居ますが大人の事情…)。ただショップの店内で堂々とトレードするのは止めましょう。即売会でも即売会会場内でのトレードは基本的にはマナー違反です。やるなら外でコソッとやりましょう。(マツバラダ・ファミリアとトリトン会は全然ok) ■現地便★ 2015年前後からSNSを利用した現地インドネシア人からの営業販売が始まりました。現在もインスタやFBでアカウントを持っていると営業メールが来ますが個人的にはお勧めしません。 1:状態が非常に悪い。初心者には手に負えない。 2:画像と届いた株が全く違う。彼ら現地写真や商材写真、平気でパクります。 3:金銭トラブル。お金は払ったけど商品が届かない。いくつか聞いています。 4:とにかく全てがガチャ 優良な現地便シッパーさんも確かに居ますが、基本的にはかなりガチャな要素がありますので宝くじを買う感覚で利用してください。 ■番外 現地採集。検疫の問題で現在ほぼ不可能。2018年秋から植物を輸入する際、相手国発行の植物検疫証明書が必須となりました。以前は到着空港での飛び込みでも検査が受けられましたが、現在は飛び込みでの検査は不可能です。 【準備編】 導入時期ですが慣れれば通年でも問題ありませんが、初めてアグラオネマを導入するなら時期を考えないと難易度が変わって来ます。基本的には春秋の導入がトラブルが少ないです。また国内増殖株と現地採集株でも難易度が変わって来ます。特に初心者さんには春秋に国内増殖株から始めるのをお勧めします。 ■冬★ 通販の場合、発送先の梱包能力で着状態が変わります。クーラー付き温室でもかなり低温度低湿度になるので新規導入は控えましょう。特に2月は発送及び導入共に事故率上がります。 ■春★★★ 最低気温が10℃くらいが続き出せば、導入植替え鉢増し活動適期です。基本的にお住まいの地域に桜の開花情報が出れば大きなトラブルは起こりません。 ■夏★★ 新規導入の場合、通販オークション利用の場合は控えましょう。なお梱包に慣れた相手先なら問題ありません。また飼育場所にクーラーが無い場合、8月の新規導入は事故率が高くなります。 ■秋★★★ 新規導入、植替え取り木共に適期です。基本的に冬場は植え替えや鉢増し(後述)は向いていないのでこの時期にしっかり準備しましょう。特に飼育1年目の方、ここでのパフォーマンスが冬越しに影響を受けます。 飼育ケースはほぼ一択。見た目の美しさと前扉式の機能性、そして高さが50㎝(ここ重要)のまさにジメジメ系専用に作られたケース。メーカーさん曰く元々は爬虫類用に作ったけど、利用者層は9割観葉植物(ほぼアグラ)ですとの回答。販売極初期から自腹切って購入してインプレッション書いた甲斐があります。なのに未だに1台も試供品も貰ってないんですよ!アグラオネマ飼育は総じて最初は余った水槽から始めますが、沼の先はほぼこのゲージになるので考えずにポチりましょう。費用対効果高いです。 ■衣装ケース★ メリットは入手しやすい。積み重ね出来る。比較的安価。軽い。デメリットは構造上作業しずらい。中が見ずらい。冬場乾燥しやすい。見た目がアレ。土地問題が出るとその場しのぎで引っ張り出されることが多いケースですが、メーカー違いやサイズ違いが増えだすと大抵飼育崩壊にも向かいやすい。 ■ガラス水槽★ メリットは入手しやすい。各家庭に1台はある。比較的安価。デメリットは構造上作業がしずらい。蓋が熱帯魚用じゃなくて別途カットが必要。これも土地問題が出るとその場しのぎで引っ張り出されることが多いケースですが、これも飼育崩壊にも向かいやすい。 ケースですが各種メリットやデメリットはあります。あえて言うなら「統一しましょう」です。レプタイルゲージならレプタイルゲージで統一、衣装ケースならメーカーとサイズは統一、ガラス水槽ならせめてサイズを統一すれば飼育崩壊は起きにくいです。飼育ケースと鉢サイズを統一しておけば、1つが調子を落としている場合、他も調子を落としている可能性が高いです。飼育環境はほぼ同じですから。飼育の上手い人って大抵、飼育ケースと鉢のサイズを揃えています。余談ですが飼育ケースの種類が5種以上になってくると飼育崩壊の入り口です。初中級者で飼育の壁にぶち当たった場合、ケースと鉢の見直しだけでかなり改善されます。 ■プラ鉢★★★ アズール推奨プラ鉢。実際にウチで使って居るプラ鉢はほぼこれです。サイズは90。このサイズがアグラオネマ飼育の下限。余裕があるならもうワンサイズ上。購入先はこちら。 以前は緑のショートタイプでしたが「用土の量が3割増し」「ケースに収容出来る数は変わらない」で黒に切り替えました。用土が増えるメリットですが水持ちが良い分だけ乾燥しないのと、深い分だけ根の数が増える→成長も早くなるです。あと鉢も規格は必ず揃えましょう。これも散らかりだすと飼育崩壊の入り口になります。 ■スプレー★★★ KOSHIN(工進)一択。壊れない、ホムセンならどこでも売っている、アフターパーツも揃いやすい。スプレー式もありますがほぼ最後はこれに行きつく。買うなら3~4リットルクラス。作業効率がグッと上がります。 ■照明★★★ ここだけ確定稿が出来ない。各社色々な種類の照明が揃っていますが、筆者ほぼLED一択なのでそこは各自差っ引いて読んでください。現状使用中はコトブキのLED、スリムライトと30w蛍光灯です。90㎝のゲージでLED2灯もしくは3灯。30w蛍光灯なら3灯。時間は6~7時間(夏場は短めで5時間)。長時間の照明は不要です。照明ですが質よりもケース内温度に影響を及ぼす場合がありますので、そこは気を付けてください。特に蛍光灯を使用している場合、安定器の熱が原因の蒸れがあります。 ■タイマー★★★ これも必須アイテム。もうパナソニック製一択で3000円前後。ホムセンやアマゾンで中華製のタイマーが1000円前後で手に入りますが、大抵半年持たずに壊れます。パナソニック製のタイマーは10台近く持っていますが未だに壊れずフル稼働。特に週末しか弄れない方には必須アイテム。なおヘルツ数を合わせないと時間が狂って来ますので注意してください。 ■温度計★★★ 室温用とケース用の2つを用意する。一つは必ず画像の様なアナログで。アグラオネマの適正飼育温度ですがおおよそ22℃から30℃です。ただ常時28℃から30℃ですと株への負担が大きいので理想は消灯時26℃以下、点灯時28℃以上です(植込み直後の株は除く)。あとエアコンやサーキュレーターでいくら空気を動かしても飼育ケースの設置状況で飼育ケース内の温度に違いが出ます。特に夏場や冬場、3段組ですと最下段のケースと最上段のケースで5℃ほど温度差が出ます。アグラオネマの場合、20℃を切り出すと極端に成長が遅くなったり新しい葉が委縮化しやすいです。冬場のトラブル、大抵は乾燥か低温障害ですので室温の把握だけでなく、飼育ケース内の温度の把握も重要です。 ■クーラー★★★★★ 考えるな、黙って買え。クーラーを用意が出来ないならそもそも飼育を諦めましょう。なお照明用のライトで温度が上がり易いので新たに設置するならワンサイズ大きめ推奨。温室が6畳なら8畳用、8畳なら10畳用とワンサイズ大きめが後々トラブルになりません。あと基本的に年中フル稼働です。無可動は春と秋にせいぜい合計20日前後です。電気代ですが、断熱がしっかりしている6畳部屋なら冬場でも月2000円アップ程度です。なお昭和築の築古木造は...(以下略 【トリートメントケース】★★★★ ショップやトレードで入手した株をメインケースに入れる前に一時的に隔離するケース。ちょう重要。アグラオネマの飼育トラブルの大半が「虫害」「軟腐病」です。これらはほぼ導入後2週間以内に発症します。虫害は薬剤散布で何とか食い止めれるケースはありますが温室内にシュリンプやヤドクガエル、クワガタ等が同居している場合、薬が使えずほぼパンデミックになります。また軟腐病は一度発生するとこれもほぼ飼育環境が崩壊します。 とりあえず余っているケース1つで十分です。ガラス水槽の40㎝か45㎝水槽くらいまで。60㎝レギュラーならギリ。衣装ケースでも密閉が確保されるなら問題なし。余り大きいサイズだと湿度の維持が難しくなります。照明はメイン水槽よりやや弱光(~80%)、湿度はやや高め推奨。なお普段からトリートメントケースには植物を入れておいてください。普段から入れる目的はケース内の湿度確保用と、新規導入株が病虫害持ちなら古参の株にも影響が出ます。トリートメンケースに入れる期間は大体3週間。3週間であらかたのトラブルは出尽くします。病虫害対策の原則は「持ち込ませない」です。水際で対処しましょう。口酸っぱくトリートメントケースを勧めていますが、設置率は多分5%...皆んな草買う前にトリートメントケースを買いましょう。 【最後に】 葉柄が鑑賞対象のアグラオネマですが、飼育的には「根塊」を如何に育てるか?が綺麗なアグラオネマを育てるコツです。Twitterで良く「葉っぱなんてかざりです。えらい人にはそれが分からんのです」と呟いていますが、これはネタじゃなくてアグラオネマ飼育の根幹です。「根塊を育てている感覚」が何となく分かれば初心者卒業じゃないでしょうか?そして導入した株をそのまま綺麗に育てるのは上級者でもかなり難しいです。葉っぱ3枚までの幼株ならなんとか可能性はありますが、手に入れた株を一度大きく育てて切って芋から作り直すのが王道です。せっかく育っている株の茎をナイフで切るのはとても怖いです。だが切れ、恐れるな…アグラオネマの可能性を信じて、力を尽くせば、卍の道は自ずと拓ける…
by daigorou11
| 2019-04-26 07:50
| アグラオネマの栽培方法
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